「相続人が何人もいて話がまとまらない」
「兄弟で意見が食い違って手続きが進まない」
――相続で最も多いトラブルは、相続人が複数いる場合の手続きです。
この記事では、複数相続人がいる場合の手続きの流れと、トラブルを防ぐためのポイントをわかりやすく解説します。
1.「相続人の範囲」を正確に確定する
相続手続きの出発点は、相続人が誰であるかを正確に確定することです。相続人とは、民法で定められた故人の財産や権利、義務を承継する権利がある人間のことです。兄弟や親族が複数いる場合、「誰が相続人であるか」を誤解してしまうことがしばしばありますが、相続人については、民法で優先順位が定められています。
▷ 相続人の優先順位
故人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の相続人は次の優先順位に従って決まります。
- 故人の子※子が亡くなっている場合は孫
- 故人の父母など直系尊属(1に該当する人間がいない場合)
- 故人の兄弟姉妹※兄弟姉妹で亡くなっている方はその子(1と2に該当する人間がいない場合)
▷ 相続人の確定方法
相続人を確定するには、まず最低限、故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得し、家族関係を正確にたどる必要があります。婚姻・離婚・養子縁組など、過去の戸籍にしか記載がない事実もあるため、古い戸籍まで確認することが不可欠です。
前項に記載の相続人の順位によって、収集が必要な戸籍は異なります。戸籍の収集は全国の自治体にまたがることも多く、日数を要する手続きです。そして、正確な相続人確定は、以後のすべての相続手続の土台となる作業であり、慎重かつ確実に進める必要があります。
💡 ポイント
「戸籍広域交付制度」が2024年3月にスタートし、本籍地以外の区役所でも戸籍を取得することができるようになりました。ただし、請求ができる範囲は、本人、配偶者、直系尊属、直系卑属に限定されており、兄弟姉妹や甥姪の戸籍は請求に制限がかかる可能性があります。
2.遺産分割協議
相続人が複数いる場合、財産の分け方を話し合う「遺産分割協議」を行う必要があります。故人名義の預貯金口座の解約手続きや相続登記(故人名義の不動産の名義変更)を行うには、この「遺産分割協議」の成立が前提となります。
| 手順 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| ① 財産調査 | 故人名義の預貯金・不動産・有価証券などを調査し、一覧化。(例)預貯金の残高証明書を取得 | 手許現金漏れに注意(特に葬儀代や病院代の支払いのために故人の死亡直前直後に出金した現金の残額) |
| ② 相続人全員で協議 | 相続人全員で故人の財産の分割方法を協議 | 相続人全員の合意が必要 |
| ③遺産分割協議書作成 | 合意内容を文書化して全員が署名・捺印 | 相続登記や相続税申告で使用する予定の場合は、それに対応した内容にする必要あり |
💬 ポイント
民法には、法定相続分という財産の分割割合が定められておりますが、相続人全員で合意しているのであれば、法定相続分に沿わない財産の分割も可能です。(例)妻と子が相続人の場合に、すべての財産が妻が取得するなど。
3.各種財産関係のお手続き
遺産分割協議書の作成まで完了したら、いよいよ各手続先に必要書類を提出し、故人の預貯金口座の解約手続きや相続登記(不動産の名義変更)を行うことができます。
💡 ポイント
・預貯金口座の解約手続きには金融機関所定の書類に記入署名等も必要です。
・相続登記には、登記申請書の作成も必要です。
4.トラブルが起きやすい3つのポイント
① 相続人間での連絡不足
遠方に住む兄弟や疎遠な親族がいると、連絡が取れず協議が進まないケースがあります。
→ 一向に連絡が取れない場合は、遺産分割協議の調停を家庭裁判所に申立する方法や弁護士に依頼するといった方法が考えられます。
② 口頭のみで遺産分割協議は後から紛争に発展する可能性
口頭による意思表示のみでも遺産分割協議は成立します。しかし、遺産分割協議書を作成しなかった場合、遺産分割協議が成立したという証拠物が残らないため、後から争いになってしまう可能性があります。特に相続人が複数名いる場合は、成立した遺産分割協議の内容をしっかり書面にすることで後々の紛争防止につながります。また、相続登記や普通自動車の名義変更、相続税申告の際は遺産分割協議書が原則必要となります。
③ 手続きの長期化によって相続人の関係がさらに複雑になる可能性
相続人が複数人いる場合は、どうしても戸籍の収集や相続人間の連絡に時間がかかってしまい、手続きが長期化してしまう傾向にあります。遺産分割協議が成立する前に、万が一、相続人の中で死亡者が出てしてしまうと、相続人の関係や必要な戸籍の範囲が複雑になってしまう可能性があります。
5.相続人が複数人いる場合の手続きのコツ
▷ コツ①:代表者(窓口)を決める
各手続先と連絡を取り合うような相続人は代表を1名決めることをお勧めします。
▷ コツ②:手続きを放置しない
手続きを放置してしまうと、より手続き内容が煩雑になってしまう可能性があります。
▷ コツ③:専門家に手続き代行を依頼する。
行政書士などの相続手続きの専門家に依頼することで、手続きをスムーズに行うことができます。
💡 ポイント
相続人が多いほど「感情」や「公平感」のズレが生じやすくなります。
相続手続きの専門家に手続きをお願いすることで格段にスムーズになります。
6.まとめ:複数相続人の手続きは“早めの整理”がカギ
複数の相続人が関わる手続きほど、正確かつ迅速に行う必要があります。
早めに整理を始め、専門家のサポートを受けながら進めることが重要です。
相続・生前対策のお困りごと、
当事務所にお任せください。
まずは無料相談でお話をお聞かせください。
