相続手続きの一般的な流れを解説 まず何から始める?

ご家族が亡くなったあとは、葬儀の準備と並行して、さまざまな手続きを進める必要があります。
特に相続に関しては、短い期間の中で戸籍の収集や財産調査を行うため、何から進めればよいのかわからず不安に感じることが多いかと思います。

この記事では、一般的な相続手続きの流れを順番に整理して解説します。


■ 1.死亡後すぐに行う手続き

目次

▼ ① 死亡届の提出(7日以内)

医師から交付された死亡診断書(または検案書)を添えて、市区町村役場へ死亡届を提出します。
死亡届の提出後には「火葬許可証」が交付されるため、葬儀や火葬へ進むことができます。

提出期限:死亡の事実を知った日から7日以内

死亡届は相続手続きの前提となるため、葬儀の準備とあわせて確実に済ませておきます。
※一般的には葬儀会社で対応してくれるはずです。


▼ ② 葬儀・火葬

葬儀会社との打ち合わせや式場の準備などを進め、火葬を行います。
急いで相続の手続きを始める必要はありませんが、葬儀後は次の段階に移ります。


■ 2.相続手続きの準備(相続人と財産の把握)

相続手続きを進めるにあたっては、まず「相続人は誰か」「相続財産は何があるのか」を明らかにする必要があります。


▼ ③ 相続人を確定するための戸籍収集

相続手続きの出発点は、相続人が誰であるかを正確に確定することです。相続人とは、民法で定められた故人の財産や権利、義務を承継する権利がある人間のことです。兄弟や親族が複数いる場合、「誰が相続人であるか」を誤解してしまうことがしばしばありますが、相続人については、民法で優先順位が定められています。

▷ 相続人の優先順位

故人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の相続人は次の優先順位に従って決まります。

  1. 故人の子※子が亡くなっている場合は孫
  2. 故人の父母など直系尊属(1に該当する人間がいない場合)
  3. 故人の兄弟姉妹※兄弟姉妹で亡くなっている方はその子(1と2に該当する人間がいない場合)

▷ 相続人の確定方法

相続人を確定するには、まず最低限、故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得し、家族関係を正確にたどる必要があります。婚姻・離婚・養子縁組など、過去の戸籍にしか記載がない事実もあるため、古い戸籍まで確認することが不可欠です。

前項に記載の相続人の順位によって、収集が必要な戸籍は異なります。戸籍の収集は全国の自治体にまたがることも多く、日数を要する手続きです。そして、正確な相続人確定は、以後のすべての相続手続の土台となる作業であり、慎重かつ確実に進める必要があります。

戸籍が揃わないと金融機関の手続きや不動産の名義変更が進まないため、相続手続きの中でも重要な工程になります。


▼ ④ 相続財産の把握(財産調査)

次に、相続財産の種類や内容を整理します。
相続財産にはプラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。

<代表的な相続財産>

  • 預貯金
  • 不動産(土地・建物)
  • 株式・投資信託などの有価証券
  • 自動車
  • 債務(借金など)

<取得/確認することが多い書類>

  • 金融機関の通帳、残高証明書
  • 固定資産税の納税通知書
  • 登記事項証明書
  • 株主総会通知や配当金計算書、残高報告書
  • 車検証

財産の内容が把握できると、後の遺産分割協議や名義変更をスムーズに進めることができます。


■ 3.遺言書の有無を確認する

相続手続きは、遺言書があるかどうかで進め方が変わります。


▼ ⑤ 遺言書が見つかった場合

遺言書には主に以下の種類があります。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言

● 自筆証書遺言

直筆で作成した遺言書を自筆証書遺言といい、自筆証書遺言が見つかった場合は、家庭裁判所で「検認」の手続きが必要です。検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の検認の日現在における遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。なお、実際の手続きで使用できるかどうか遺言の有効・無効が確定するわけではありません。

💡補足

法務局で保管されていた自筆証書遺言は検認不要です。

● 公正証書遺言

公正証書遺言には検認は不要で、そのまま内容に沿って相続手続きを進めることができます。


▼ ⑥ 遺言書がない場合(遺産分割協議)

遺言書がない場合は、相続人全員で遺産の分け方を話し合います。
これを「遺産分割協議」といいます。

話し合いがまとまったら、内容を文書にした「遺産分割協議書」を作成します。
遺産分割協議書は、不動産・預貯金・証券などの名義変更で求められることが多く、相続手続きを進めるうえで重要な役割を持ちます。


■ 4.財産ごとの名義変更手続き

遺産分割の内容が決まったら、財産ごとに個別の名義変更を行います。


▼ ⑦ 預貯金の相続手続き

金融機関ごとに相続手続きの指定書類があり、必要書類は機関によって異なります。
一般的に必要となるのは、次のような書類です。

  • 相続人の戸籍一式
  • 遺産分割協議書または遺言書
  • 相続関係説明図
  • 相続人全員の印鑑証明書

銀行口座は死亡後に取引が制限されるため、払い戻しや名義変更には正式な手続きが必要になります。


▼ ⑧ 不動産の名義変更(相続登記)

不動産を相続した場合は、所有者を相続人名義に変更します。
2024年4月からは相続登記が義務化され、次の期限が定められています。

相続を知った日から3年以内に申請する

必要となる主な書類は次のとおりです。

  • 被相続人・相続人の戸籍
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書または遺言書
  • 固定資産税の納税通知書や固定資産評価証明書
  • 登記事項証明書
  • 登記申請書

▼ ⑨ 有価証券の相続手続き

証券会社で名義変更の手続きを行います。
預貯金の手続きと同様に、戸籍一式や遺産分割協議書が必要となることが一般的です。


▼ ⑩ 自動車の名義変更

自動車を相続した場合は、運輸支局で名義変更の手続きを行います。
車検証や遺産分割協議書、印鑑証明書などの書類を揃えます。


■ 5.追加で必要になることがある手続き

相続の状況により、以下の手続きが必要となることがあります。

● 相続税の申告

相続税が発生する場合は、相続開始から10か月以内に申告・納税を行います。
相続税の計算・申告書作成は税理士が行う業務です。

● 相続放棄

相続放棄をする場合は、家庭裁判所への申述が必要です。
期限は原則として 相続開始を知った日から3か月以内 です。


■ 6.まとめ

相続手続きは、
相続人の確定 → 財産調査 → 遺産分割 → 名義変更
という流れで進めるのが一般的です。

ただ、戸籍が揃わない、相続人間での調整が難しい、財産が把握できないなど、各段階で時間がかかることがあります。
全体の流れを理解して早めに準備を進めることで、負担が軽くなり手続きも進めやすくなります。

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監修者

行政書士

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